5 農業

さかわのお茶通信 ■  さかわ茶探偵、探偵業をひと休みしてお茶を作る

お久しぶりです。
さかわのお茶が育ったり、摘まれたり、お茶作りをする時期を過ごしておりました。
そのようなわけで、今回は探偵業をひと休みをして、4月11日から始まった、佐川町のお茶摘みについてご報告する会と致します。

●お茶の新芽の愛で方


みなさんが新芽が芽吹く時期にお茶畑に行くことがあり、写真を撮りたいと思った暁には、逆光で撮影してみてください。
開き始めたお茶の葉は柔らかく、透き通るように薄いのです。向こう側の葉が影となって写ると、新鮮なお茶の葉感が増します。

 

新芽は、花の蕾のように葉が開いていきますが、同時に茎も伸ばしています。
一芯二葉、という言葉は、新芽と新しく開いた葉二枚を指します。
お茶の葉が新しければ、甘みが多く苦味も抑えられた、上質なお茶になります。
しかし、一芯二葉でお茶を摘むのと一芯三葉でお茶を摘むのでは、同じ茶畑でもお茶の葉の収穫量が大きく違ってきます。
質と量のバランスを計算しながら収穫をする茶農家さんは、茶の工場でできあがったお茶を見て、これは市場でいくらの値段がつくと予想が付けられます。

●茶摘みまでの大変なアレコレ

①霜害

芽が伸び、葉が開く毎に、お茶の葉の耐寒性は下がっていきます。
3月の終わり頃から5月の初頭くらいまで、朝方ぐっと冷え込むことで霜が降り、新芽は赤く焼けてしまいます。
↓こちらの動画に、その説明もありますよ↓
さかわ未来学「茶農家」

 

 

②お茶じゃない植物

アカネ科ヘクソカズラ(つる性多年草)
こちらの方がよくお茶の木に纏わり付きながら伸びるため、抜くのも一苦労です。
そんな習性を見た昔の方は句を詠んだそうです。
菎莢(ざふけふ)に 延(は)ひ おほとれる 屎葛(くそかづら) 絶ゆることなく 宮仕へせむ
万葉集に載っているそうです。エモさが表出しており、現代でも共感のできる句でございます。

なお、花の姿は美しく、早乙女花とも呼ばれるそうです。

●お茶摘みの始まり始まり

さあ始まりました、お茶摘みの時間です。

ちょっと昔まで、お茶を摘む方法は「手」しかありませんでした。
それが鋏を使うようになり、機械が開発されていきました。

今では機械に乗るだけでお茶を摘む方法もあります。
しかしこの機械、傾斜には弱いのです。今、佐川町に残っている多くの茶畑では、中々運用が難しいです。
ですので多くの茶園では、2人で機械を持って、もう1人いたら、だるんと下がる茶袋を持つ3人組、というスタイルが見られます。

●お茶の商品作り

お茶を摘んだら、その日の内に加工します。(紅茶や烏龍茶は一晩酸化発酵させます)
お茶の葉を蒸して、乾かして、揉んで、という工程を4~5時間ほど繰り返します。

そして1次形態「荒茶」という状態にします。
見た目では、みなさんの手元に届くお茶とほとんど変わりません。

次に、ほんの少し大きさを揃えたり、茎などを飛ばしたりして、映えを目指しつつ、最後の味を整える作業を行います。
もう一度乾燥させる時の温度や時間で、味が変化します。「火入れ」と呼ばれますが、一般的に言うところの焙煎です。さらに、他のお茶と混ぜ合わせることで、味に深みを出すこともあります。ブレンドです。
こうして2次形態「仕上げ茶」になって、ようやく小袋に入れられたり、ティーバッグに入れられたりして、みなさんの元へ向かっていきます。

長い長いお茶の旅、次回は紅茶や烏龍茶について、お届け致します。
息つく間もなく、週末から二番茶のお茶摘みが始まる佐川町よりお送り致しました。