2 自伐型林業

佐川の山をデータで見てみた!

こんにちは。自伐型林業7期生の桑原です。

2020年の7月に地域おこし協力隊の任を受けてから早2年が経ち、卒業まで1年を切ってしまいました。時が経つのは本当に早いですね。

さて、卒業したらここ佐川で自伐型林業を軸に生計を立てていこうと考えている小生にとって佐川の山林の状態が非常に気になるところであります。そんな中、役場が整備している「森林クラウド」なるシステムで佐川の山林の状況を覗いてみることができましたので、軽くご紹介したいと思います。

佐川の山林情報をデジタル化

森林クラウド」とは、佐川町内の山林の状況(樹種、林齢、施業履歴など)や各土地(地番)の境界、所有者情報などをデジタルの地図上で確認できるシステムです。

上の画面は、「森林クラウド」の画面イメージで、尾川地区の大字古畑近辺を5000分の1の縮尺で表示しています。少々わかりにくいですが、河川や道路などのほか、山の起伏を色で視覚的に確認できる背景図(CS立体図)、筆の境界(黒い線)なども確認することができます。

町内全域の地図を搭載しており、背景を航空写真に切り替えたり、各筆の番地を表示したりするなど、利用目的に応じて表示する情報を任意に切り替えることができるシステムとなっています。

いちいち山の中まで行かなくても役場のパソコンで山林状況や境界などが確認できるというのは便利ですよね。

※注意:「森林クラウド」は、役場職員さんが業務で使用するもののため、一般の方は使用できません。

佐川の山林はとても小さな土地の集まり

そんな便利な「森林クラウド」から抽出できるデータを使って、佐川の山林の筆ごとの面積ってどれくらいの規模が多いのか調べてみました。

ご覧のとおり、佐川町の山林は約2.7万もの筆に分かれており、そのうち1ha未満が95%、5ha未満を含めると99.8%以上を占めていることがわかります。

一見すると周囲を広く山々に囲まれている佐川ですが、このようにデータで見てみると、目に見えない境界に区切られた非常に小さな山林に分割されているんですね!

整備するには小さい佐川の山林

一般的に自伐型林業する場合、1年間に施業する面積は3~5haくらいと言われていますので、施業に十分な面積規模を有する山林は1%にも満たない状況なんですね。なお、ここで集計した山林には、広葉樹林や急傾斜等の施業が困難な場所も含まれていますので、林業の適地としては更に少なくなると考えられます。これには本当にビックリしました!!

仮に、小生のような山林を持たない者が自伐型林業を行おうと思ったら、隣接する複数の山林の所有者さんと交渉し、施業が可能な面積規模に「集約」しなければならないという、非常に難しいミッションをクリアしなければならないのです。

一方、山林所有者さんの立場からしても、面積が小さいことだけでなく、林道に接していない奥まった場所にあるため整備を依頼したくてもできない山林く、困っていらっしゃる方が多いものと想定されます。

 

所有者さんに変わって役場が山林を長期管理

このような状況を踏まえて、役場では、以前から各山林の所有者さんに変わって、山林を長期管理する取り組みを進めています。

所有者が細かく分かれた山林を役場が一元的に管理することによって、隣接した複数の山林を「集約」して施業に適した規模にまとめ、施業地を飛躍的に拡大できるというわけです。

佐川町で自伐型林業をやろうと移住してくる地域おこし協力隊員が多い理由の一つとして、この取り組みが挙げられるのは言うまでもありません。

 

「森林クラウド」で見ると、既に1,600筆以上の山林が長期管理の契約がなされているようです。山林の集約を進めてくださる役場職員の皆さん、そして、長期管理を任せてくださる山林所有者の皆さんの信頼関係があるからこそ、この取り組みが実現するのでしょうね。自伐型林業での自立を間近にする身としては本当にありがたいことです。

ただ、未整備の山林はまだまだあります。山林所有者の皆さん、もし役場から引き合いがありましたら、ご協力をお願いいたします

佐川の山林をすべて整備するには、まだまだ長い時間がかかると思いますが、このような取り組みが実を結び、より身近で美しく豊かな山林に成長するよう皆で協力していきましょう!