はじめまして。
今年度4月より、佐川町で作っているお茶、佐川茶の振興担当(通称佐川茶プロモーター)をしております、田中と申します。
以後、よろしくお願いいたします。
今回は初投稿ですので、高知で作られているお茶 “土佐茶”について、まずはご案内いたします。
土佐茶とは
去年の冬、ひょんなことから佐川町の地域おこし協力隊の募集を知り、東京で高知担当をしている移住相談員さんから、私は初めて「土佐茶」という名前を聞きました。
みなさんは土佐茶、ご存知でしょうか?
高知では古くからお茶の木が自生していて、1500年代末の『長宗我部地検帳』 にも茶の記載が残っているほど、お茶の歴史は長く続いています。
しかし、土佐茶の知名度は現在に至るまで、なかなか高まる機会がありませんでした。そこには、高知で作られたお茶の行方が関係しています。
茶摘み、という言葉を耳にしたことがある方は、たくさんいらっしゃるかと思います。では、名前の通りお茶の葉が摘まれて、そのあとお茶の葉はどうなるのでしょうか。
お茶の葉は専用の工場(茶工場)に運ばれます。そこで主に、蒸す、乾かす、揉む、という工程を経て、荒茶、と呼ばれる状態になります。
この荒茶を、茶商さんやお茶の問屋さんなどが仕入れ、さらによい製品にするため、形状を整え、荒茶をブレンドし、もう一度火入れと呼ばれる乾かす作業をして、各々のパッケージに袋詰めにするという仕上げ工程を経た、仕上げ茶、がお茶屋さんやスーパーマーケットなどの店頭に並んでいます。
高知で作られた荒茶の大半は、長く、静岡などの仕上げ茶の中に、ブレンドされてきました。
風味高い高知のお茶は、茶商さんなど仕上げ茶を作る方に、仕上げ茶をより香り高くするために仕入れられ、ほかの産地のお茶に混じって流通していた、という背景があるのです。
ところが近年、加工食品の原産地表示ルールの改訂により、○○産という表記に明確なルールが設けられました。
その流れなどをうけ、高知で作られたお茶を、土佐茶、という名称のまま製品にして、流通させていこうと高知県で取り組みが始まったのです。
土佐茶の特徴
土佐茶は 『金色透明、豊かな風味』と言われています。
そんな土佐茶はどんなところで作られた、どんなお茶でしょうか。
高知県は、85%が山間部を占めており、その山間部で、土佐茶は作られています。
傾斜の強い地形は、水はけがよく、昼夜の寒暖差があり、霧が発生しやすくなっており、高知が温暖で雨が多いということ条件が、土佐茶によい影響を与えています。
高知でお茶の研究・試験を行っている 『農業技術センター 茶業試験場 』という施設が仁淀川沿いにあり、そこでは土佐茶の風土に合わせた急こう配で茶の木を育てています。そこへ県外の茶業研究員の方が訪れたとき、急な斜面に驚かれることがままあるそうです。
金色透明、とうたわれるほどお茶の色が澄んでいる理由のひとつに、土佐茶の製造方法が関係しています。
煎茶、番茶、抹茶、玉露など、お茶の種類を耳にしたことがあるのではないでしょうか。ではその種類が、お茶の葉の栽培方法や製造方法の違いにより分かれることは、ご存知でしょうか。
国内のお茶の半分以上を占めるのは、煎茶ですが、煎茶には2種類あります。普通煎茶と深蒸し煎茶です。これはお茶の葉を加工する最初の工程の蒸熱、葉を蒸す時間が標準か長いか、という違いです。(※上級ではなく普通、という意味ではありません)
土佐茶はおもに普通煎茶です。蒸し時間が標準であるため、葉の形が細く整ったままとなり、葉が壊れて粉になることが少ないため、お茶の濁りが出にくいのです。
土佐茶には、甘味やうま味の元となる、お茶特有のアミノ酸、テアニンがたっぷり含まれており、苦味や渋味が抑えられています。
そのため、土佐茶は香りが豊かで、甘みのある、まろやかな口あたりになるのです。
佐川茶プロモーターの活動
4月からお茶に携わり始め、発見したこと、学んだことを広め、実際に町内外の方へ佐川町で作られたお茶をふるまったり、おいしいお茶の淹れ方を伝えていきます。
そして、お茶を淹れて飲んだ時のほっとした表情を、あちこちで広げていこうとひそかに目論んでいるのです。